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先生は生理学者だったから、
研究ノートの付け方は、生理学流のものを
おそわった。
ケンブリッジで皆使っている赤と黒の
背表紙のノートに、その日にやった実験について
必要なことを記述する。
実験研究者にとって、このノートは、
出版した論文のデータが真正なものか検証
する必要がある時には提出しなければならない、
とても大切なものだ。
なぜ毎日日記をつけているのか、
時々自問することがあるけれども、
私にとって、この日記は、
日々私を訪れる認知的なゆらぎ、覚醒、
惑いを記録する、
人生という実験のノートなのかもしれない。
『脳と仮想』の表紙デザインの
評判は大変よい。
加熱すると透明になる
特殊な紙を使っている。
文字は透明で、裏のオレンジ色が
ぼんやりと透けて見える。
思わずさわりたくなるような
表紙である。
もし、「ノルウェーの森」のように、
デザイン力で売れるということがあるならば、
この本はバカ売れするはずなのだが。
内容も、もちろんまじめなものですが、
サンタクロースは存在するのか、という問題に
脳科学の視点から解答した、
「癒し系」の本でもあります。
誰でも、本を最初に出版する時には、
「ばーん」とバカ売れすることを
夢見るモノだが、
世間はそうが問屋が卸さない。
徐々に、「この程度売れればいい」
という間合いのようなものがわかってくる。
私の場合、「この程度」というのは
2万数千部、という感じで、
5とか10とか一度は行ってみたいものだ。
先日、ミュンヘンに行った時に、
ヒトラーが最初に政治演説をしたと
いうホーフブロイハウスでビールを
飲みながら、
ああ、ここに筑摩書房の増田健史や、
NHK出版の大場旦など、
ビール好き(というかビール命)
の編集者と一緒にビールを飲みに
来たいなあ!
と思った。
ここで、デフォールト1リットルの
大ジョッキでビールを飲みまくったら、
どんなに愉快だろうなあ、と思った。
2泊4日、ビールの旅。
朝10時からビールを飲み、午後2時頃
ホテルに帰り、午後6時まで熟睡して、
午後6時から再びビールを飲む、
というプラン。
他になーんにもしない。
ミュンヘンのビアホールは、それ自体が
文化的祝祭空間なので、それで十分旅した
ことになるのだ。
それで、「とにかくどの本でもいいから、
10万部売れたら、ご招待しますよ!」
と増田健史や大場旦に言った。
そうしたら、おもしろいことになった。
先日、講談社のフラウ編集部にいる大場葉子
さん(大場旦さんのパートナー)が来た時に、
「旦さんたら、この前、寝言で、
『茂木さんとミュンヘンにビールを飲みに
行くのが楽しみだなあ』と言っていたんですよ」
と言う。
旦さんが怒るから
言わないでくれと言われたけど、あまりにも
おもしろいので書いてしまうのだ。
本屋でチャップリンの「黄金時代」の
DVDが500円で売っていたので、
思わず買ってしまった。
冒頭、男が金を掘り当てるシーンがあり、
Lucky Strikeと字幕が出る。
Lucky Strikeー>ミュンヘンでビール
こうやって、文字にして、祈願しておく。
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